バイオエタノールの利点と欠点

バイオエタノールとは、サトウキビやトウモロコシなどの原料を発酵させて、蒸留することによって生産されるエタノールです。再生可能な自然エネルギーであり、また大気中の二酸化炭素量を増やさないという利点があるため、新しい燃料として期待されています。

再生可能な自然エネルギー

バイオエタノールは、植物を原料としているため再生が可能です。これが、再生が極めて困難な石油や天然ガスなどの従来の燃料、およびこれらを原料とする合成エタノールと大きく異なる利点です。

またバイオエタノールの燃焼によって生じる二酸化炭素は、原料の植物が生長する過程で光合成によって吸収した大気中の二酸化炭素であると考えることができます。つまり、地表の循環炭素量を増やすことがないのです。これを「カーボンニュートラル」と呼びます。

温室効果ガスの削減という点においては、通常は廃棄されて、いずれ腐敗してメタンガスを発生する植物資源(稲わらなどの非可食部)を活用できれば、さらに効果は高まります。

クリーンなガソリン代替燃料

バイオエタノールは、そのまま利用したり、ガソリンと混ぜたりすることで内燃機関の燃料として活用することができます。ガソリン用のエンジンでも、構造上はエタノールを燃料としても問題はないとされています。ただし、現在のガソリンエンジンはアルミニウム部品が多数利用されており、これがエタノールによって腐食するという問題が残されています。

現在日本では、E3(ガソリンへの混合率3%)までならば安全であると見なされており、より高濃度の混入に対応するために、技術指針の整備などが進められています。米国の一部の州ではE10(混合率10%)の販売が義務づけられており、またブラジルではE20(混合率20%)のエタノール・ガソリン混合燃料が一般に販売されています。

食物の価格高騰

バイオエタノールにはいくつかの問題点が残されています。そのうちの一つに、サトウキビやトウモロコシなどが利用されているという現状があります。このことは、大きく2つの問題を発生させています。

1つは食料との競合です。2007年ごろにトウモロコシや砂糖の価格が高騰し、この原因がバイオエタノールにあるという議論が生じました。もちろんこの価格上昇が、食物生産とのトレードオフだけで説明できるわけではありませんが、バイオエタノールの原料作物への転作によって、大豆などの供給が減少して価格が高騰する可能性も示唆されています。

生産地域の限界

2つめは生産地域の問題です。特に国内においては、バイオエタノールの原料を生産可能な地域が限られています。

沖縄県では、サトウキビによる砂糖製造工程で出る廃棄物を原料とし、県内での消費を実施しています。北海道では、余剰テンサイや非食用米、規格外小麦などを原料とし、日本石油株式会社へエタノール混合ガソリン原料として供給しています。また新潟県は、バイオエタノール原料イネの栽培からエタノールの製造、エタノール混合ガソリンの販売まで一貫して実証する事業を行っています。

このような地域限定作物の場合、生産されたバイオエタノールの運搬に問題が生じます。そのため、全国で生産可能な非可食バイオマスを活用した新しいバイオエタノールが求められているのです。

それが、わたしたちがヤーコンの非可食部分を原料として開発した新しいバイオエタノール「ヤコノール®」なのです。