従来、バイオエタノールの原料として使われてきたサトウキビやトウモロコシなどに比べ、ヤーコンはアルコール原料として幾つか優れた性質を持っています。
全国各地で生産可能
ヤーコンは南米アンデス山脈地方原産のキク科の植物で、先住民によってジャガイモなどと同じように一般的に栽培されてきました。日本にはニュージーランドを経由して輸入され、北海道から本州各地、九州、沖縄まで全国各地で生産されています。
サツマイモのように肥大する塊根には、デンプンではなくフラクトオリゴ糖が貯蔵栄養素として大量に蓄積されています。このフラクトオリゴ糖には、整腸作用や血糖値抑制効果などがあるため、健康食品として注目されています。
また地域興しのための特産品として、農業団体などがさまざまな商品を開発し、販売しています。
茎葉にも含まれる大量の糖分
バイオエタノールの製造において最も重要なことは、原料の糖度です。品種によっても異なりますが、ヤーコンイモの場合は10~15%、葉にいたっては30%という高い糖分含有量を誇っています。
例えばトウモロコシの場合はエタノールの製造にデンプンが使われますが、その含有量は15~20%程度です。つまり、ヤーコンはバイオエタノールの原料として非常に効率のよい植物なのです。
わたしたちの試験では、ヤーコンの糖発酵によるエタノール製造効率は重量比2~5%であり、政府が糖発酵バイオエタノールの原料候補としてあげている植物(エリアンサス、ソルガム)に比べても高い数値を示すことがわかっています。