ヤーコンの茎葉を使ったバイオエタノール製造試験

2014年度は、ヤーコンの茎葉を用いて、バイオエタノールの製造について試験を行いました。その結果、1キログラムの乾燥ヤーコン茎葉から、98%濃度のバイオエタノール100グラムを製造しました。セルロース系バイオエタノールを高い効率で抽出することができました。

製造工程は次のとおりです。

秋にヤーコン茎葉を収穫し、冬場にビニールハウスで2か月ほど乾燥させると、カラカラに乾燥します。これを粉砕機で粉末にして長期保存しておきました。

    

乾燥させたヤーコンの茎葉を粉末にし、繊維質のセルロースを分解する酵素である「セルラーゼ」を加え、phや温度を調節して糖質に分解します。これに酵母を加え、温度と時間を管理しながらアルコール発酵させ、さらに蒸留精製することでバイオエタノールを抽出しました。セルロース分解をしない手法に比べて、効率は5倍に向上しました。

製造には太陽光発電を使用したため、製造コストは酵素と酵母の調達費用のみです。一般的なヤーコンの生産において廃棄される茎葉からエネルギー資源を取り出せたことは、価値のある結果です。ヤーコン茎葉は糖分を多く含むため、通常のセルロース系バイオエタノールに比べても、効率よく製造することが可能であることがわかりました。

昨今の国内のバイオエタノール事業は下火と言ってもよいでしょう。(バイオマス通信4 セルロース系バイオエタノール商業生産開始と日本のバイオエタノール戦略/大和総研ビジネス・イノベーション)

この記事によると、その大きな理由は“農水省が2007年から北海道2か所(原料は余剰てん菜及びコメ)、新潟1か所(原料はコメ)で行われている国産バイオエタノール製造・販売事業に計200億円を超える規模で支援していたが、2014年度で支援を打ちきったため”とのことです。

国内で原料を確保することが課題のようですが、今後の二酸化炭素排出量削減などの貢献には、再生可能エネルギーが必須であることは言うまでもありません。私たちは、今後もヤーコンの非可食廃棄部分を活用する「ヤコノール®」の研究に邁進します。